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5人のバーテンダーが取り組む、
BIRDY. TABLE DC700デキャンタ×カクテルの可能性<前編>

 昨年3月のリリース以来、主にワイン用途としてプロモーションしてきたBIRDY. TABLE DC700デキャンタ(以下Birdyデキャンタ)。「カクテルやモクテルなど、デキャンタの使用シーンをもっと広げられるのではないか」というユーザーからの意見を検証すべく生まれたのが今企画です。第一線で活躍するトップバーテンダー5名を招き、様々なドリンクにおけるBirdyデキャンタの可能性をワークショップ形式で追求してみました。カクテル、日本茶、コーヒー……、それぞれのバーテンダーが見つけた、新しいBirdyデキャンタの使い方をお伝えします。

右回し?左回し?回し方で味わいが変わる!

 はじめにBirdyデキャンタの特徴をご紹介しましょう。Birdyデキャンタは、従来のBIRDY.製品同様、内側の研磨に特徴があります。独自の研磨技術を用いて、内側の表面に0.1ミクロンレベルのごく微細な凸凹を施しました。デキャンタージュの効果を語る際、“酸素に触れることでエアレーションが促され、味わいがまろやかになる”といわれます。Birdyデキャンタの場合、内部の液体がこの凸凹に触れるとミクロの気泡が発生。数回スワリングすると液体に酸素が溶け合い、まろやかな味わいに変化すると考えています。

 発売から1年、ソムリエ向けのセミナー等で最も多かった質問が、「右回しと左回しのどちらが正解なのか」というものでした。そうした声を受けて独自に検証を行った結果、右に回すか左に回すかによってスワリングの効果やその味わいに、差異が生じることがわかったのです。Birdyデキャンタは時計回りに研磨をかけていますが、右、つまり研磨の目に沿ってスワリングすると液体本来の個性がまとまってまろやかな風味に。逆方向、つまり研磨の目に逆らうように回すと、素材本来の持つ個性が際立つ傾向にあるのです。これはワインに限らず、ラムやウイスキー、シェリーなど製造過程で酸化熟成を行うドリンクにおいて特に顕著に感じられます。
 例えば、潮風を思わせる独特の塩味がユニークなシングルモルトウイスキー、タリスカーをスワリングしてみましょう。右回しでは複雑な香味がまとまって、甘みすら感じさせる柔らかな味わいに。一方、左回しでは塩味と潮の香りが立ち上がり、力強いフレーバーに変化します。つまり、右回しが左回しかで異なる味わいを楽しめるのです。

 今回はそんなBirdyデキャンタの特性を、大渕修一さん、永野誠さん、南木浩史さん(パークホテル東京/Bar The Society)、野村空人さん(ABV+)、三和隆介さん(Mixology Laboratory)の5人のバーテンダーに紐解いていただきます。

トップ、ミドル、アフターノートで印象が変わる、
「時間差カクテル」

 プレゼンテーションのトップバッターを務めたのは南木さん。「シェイクでもステアでもビルドでもない、Birdyデキャンタでなくては表現できないカクテル」をテーマに、玉露を使ったカクテルを披露してくれました。

「はじめに、デキャンタで行うスワリングの役割を整理することから始めました。例えばシェイクの目的は『冷却+氷が溶けることによる加水+液体の混和+空気に触れさせる』こと、ステアなら『冷却+加水+混和』が目的です。ビルドは『混和』、スローイングは『混和+空気』。ではスワリングの役割は何でしょう?僕なりの答えが 『温度を変えない完璧なる混和』でした。冷却による香りの縮小も、加水によるベーススピリッツのボリュームの低下もなく、液体を完璧に混和させること。これがスワリングの到達点であると考え、このゴールに向かってどんなカクテルができるか考えてみました」(南木)

 南木さんは「氷なしのスローイングは、『混和と空気』という点でバーテンダーにとって新しい味のクリエイションの扉を開いた」と言います。しかし、今回はそこから一歩踏み込んで、「『空気』の存在はカクテルメイキングおいて万能なのか」という点からアプローチを行いました。 「空気に触れる、口当たりがまろやかになる。確かにそれはメリットですが、一方で思った通りの味わいにならないというマイナス面にもなります。完璧に混和させたい、同時にパンチの効いた味わいを求めたいとするとき、まろやかさは不要です。そうしたとき、僕たちバーテンダーの次なる課題は、これまで渾然一体に融合させていた素材、その持ち味を時間差で際立たせることではないかと考えました。完全に混和させつつ、素材の個性を消すことなく、時間差で表現することはできないだろうか、と」

 そこで考案したのが、こちらのカクテル。ジンにインフュージョンした玉露、フレッシュピーチジュースとシャンパンを使ったカクテルです。
「アロマを化合物と捉え、それぞれの素材を構成する成分の中で、その素材の特徴を表現する成分だけを際立たせられたら。この3つの素材を、Birdyデキャンタを使って完全に混和させつつ、それぞれの特徴を時間差で表現してみようと思いました。シェイクだと3つの素材の要素が凝縮してしまうし、ビルドでは完全に混和させることができない。スローイングでは渾然一体となりすぎてしまい、狙いたいエッセンスが表に現れない。まさにスワリングだからこそ可能になるカクテルです」

 できあがったカクテルは、トップノートにピーチが、続いて玉露の苦味が現れ、アフターノートにシャンパンを感じさせる、まるで香水のような複雑な味わい。
「今回は苦味にフォーカスしましたが、玉露からどういう要素を抽出するかによって印象はガラリと変わりますよね。気をつけたことといえば、桃とシャンパンという組み合わせから連想されるイメージから外れないようにすること。この組み合わせ自体は相性がいいので、ショートカクテルに仕立てても面白いと思います」(南木)
「香りの立ち上がり方が新鮮で面白い」(永野)
「はじめにピーチを感じていただきたいですが、お茶を感じる時にはピーチの要素はいらないですからね」(南木)
「確かにそれぞれのフレーバーのレイヤーがはっきりしていて、時間が経つごとに味わいの印象が変わる!」(三和)
「トニックが前に出てこないのがいいよね。最後に氷を入れていたけれど、アイスなしの仕上がりも面白いかも」(野村)

「今回は“時間差”に挑戦してみましたが、どうしてBirdyデキャンタではこのような効果が得られるのかは解明できませんでした。また、右回しと左回しを試してみたのですが、左回しではこの味わいは再現できなかったのです。これは今後の課題としてみんなで深掘りできたら、このデキャンタの可能性をさらに探求できそうです」(南木)

レシピ
玉露インフューズドジン40ml(玉露は49度で20分抽出)
ピーチジュース10ml
シャンパン・コーディアル7.5ml
トニック、ソーダ適量

1. ジンとピーチジュース、シャンパン・コーディアルをデキャンタに注ぎ、右回しで30回。
2. 1をグラスに注ぎ、トニックとソーダでアップ。


プロフィール

南木浩史さん

Bar The Society バーマネージャー。大学在学中にニューヨークへ渡り、ニューヨークバーテンディングスクールでバーテンディングを学ぶ。卒業後、ヨーロッパを回りミクソロジーの研鑽を積む。従来のスタイルを大切にしつつも、最新のツールや常識に囚われない素材使い、料理の世界の技法を駆使して仕立てるカクテルに定評があり、企業に依頼を受けてのオリジナルカクテルの創作、セミナー開催、シェフとコラボしたカクテル×料理のフードペアリングなど、多方面で活躍中。ラムコンシェルジュ、テキーラマエストロの資格も有し、世界中の酒への造詣も深い。


店舗写真

Bar The Society

東京都港区東新橋1-7-1 汐留メディアタワー25階(パークホテル東京内)
アクセス:都営地下鉄大江戸線ほか汐留駅直結
TEL : 03—6252—1111(パークホテル東京代表)
営業時間:17:00〜23:00
定休日:なし
https://parkhoteltokyo.com/bar/